相続について考えよう 事前準備のこつ
1 事前準備の段取り
さて、前回で相続について考えるときの基本の「き」は、ご自身の気持ちを確認することが大切だと述べました。
要は、税金は「あとのことでいい」のです。
もちろんお持ちの財産が潤沢にあり、相続対策が必須なんだとお考えの方は対策をする必要があると思います。
でも、人生100年時代といわれている昨今、かえってこれから「生きるためのお金」をご心配なさっている方の方が多いのではないでしょうか。
そこで「相続」について考える事前準備としての段取りを、以下記します。
1. 現状の財産の把握 (全体の把握)
2. 今後生きるためのお金の把握(入ってくるお金と出ていくお金の把握)
3. なおかつ残りそうなら(相続税がかかりそうなら)贈与などの相続対策を検討する
大切なのは「これから自分が生きるためのお金の把握」です。
ある無料相談での体験をご紹介しましょう。

70代くらいのご婦人がおみえになりました。その方はご主人を亡くされておりました。そして、ご主人の死亡保険金を2000万円受け取られたということで、自分の相続税が心配だからそのお金を今度息子さんに贈与したいのだがどうすればよいか?とのご相談でした。
こういうご相談は結構多いのです。ある程度のお歳を召された方のご相談で、将来的に「税金」がかかるから、今のうちにお子さんに贈与をしたいというご相談。
私はそういうご相談を受けたとき、まず、その方の財産全体の額と今後の収入支出見込みをできるだけ把握するようこころがけています。
前述の場合は
「お母さん、2000万円息子さんに贈与するのはいいけれど、現在のお母さんの財産やこれからの収入で、今後の生活は大丈夫ですか?今はお元気かもしれませんが、もしかしたら病気になるかもしれないし、介護も必要になってきて施設に入らなくてはならないかもしれないのですよ。その備えはできていますか?」と。
そうすると、大体の場合は皆さん「う~ん。そうですね。」と、一瞬ためらわれます。
そして、私は続けます。「お母さんはまだお若いですよね?お元気なうちに何かやりたいことはありませんか?
例えば旅行とか。ご主人が遺してくれた大切なお金を、お母さんの今後の人生を豊かにするようお使いになったらいかがですか?」と。
「生きるためのお金の把握」と「人生を豊かにするお金の使い方」を、相続税を心配する前に、じっくりお考えになったほうがよろしいと思います。
「木を見て森を見ず」にならないように、ご考慮いただきたいです。
前述のご婦人は
「そうですね。私も旅行が好きだし、病気のことも心配ですよね。息子に贈与しなくてもいいかしら?」とおっしゃって、相談を終えてお帰りになりました。この場合、ご自身の生きるためのお金をしっかり把握していて、それでもなおかつ残りそうで相続税がかかるのが心配だとお考えになれば、その時にお子さんなどへの「贈与」をご検討なさればよいのです。
相続についてお考えになるときの事前準備
いかがでしょうか?
ちなみに、私は自分の「相続」ストーリーを考えざるを得ない立場(配偶者死亡)ですので、ある程度考えています。
息子2人には彼らが65歳になったら受け取れる一括払いの個人年金をつくりました。(そんなに大きい額ではないですよ 汗)
息子に遺したい財産は自宅とそれだけです。(あわよくば自宅も処分してもいいと思っています。ひとまず1人前の社会人に育てたわけですし、親としてできることは果たしたと思っています。あとは、私自身の始末のために息子達の負担にならないようにするのが、親の義務ですよね。)
そして、あとは自分が95歳くらいまで生きるとした場合のライフプランを組みました。元気なうちは大好きな「ひとり旅」をする予算も、少し入れてみました。そうしたら、あとどのくらい仕事をしてどのくらい貯金をしないとならないか見えてきました。一度組んでみて、その時々で変更をすればいいと思います。
どうぞ、ご自身の人生のたなおろし
じっくりお考えになる機会をもうけてみてください
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Photo:チェコ プラハの街並み
藤枝市の女性税理士事務所 野島由美子税理士事務所(藤枝・島田・焼津・静岡)
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