知っておきたい事業承継ストーリー その4
4 親族内への承継
さて
事業承継シリーズ第4回目です。
今回は「親族内への承継」
一番多いのはお父さん(もしくはお母さん)の会社を、息子さんもしくは娘さんなどご自身の親族に引き継ぐ場合です。
前回「事業」とは経営と財産のかたまりだということを申し上げましたが、承継のタイミングもそれに応じて一度にやる必要はありません。
まず……
経営→財産 (後継者を社長にさせてから、株を移動させる)
財産→経営 (後継者に先に株を移動させてから、社長交代)
※ 少しずつ株を移動させながらの社長交代もありますね
経営も財産も せーのでいっぺんに移動させてしまう
それぞれの会社の状況にもよると思います
◆ 経営の承継をうまく行う方法 (私見)
〇 後継者の育成 (下積み経験 可愛い子には旅をさせよ)
〇 会社内の他の役員、従業員さんへの理解を得る(いわゆるねまわしのような…)
〇 いったん経営を移譲したら、ご自身はあまり口を出さないで見守る
このうち「口を出さない」なんですけれどね、特に親子の場合けっこう感情的に難しかったりします。
ついつい口を出したくなるのが心情。
でもね、後継者もいろいろなプレッシャーを感じながらも覚悟を決めてやっておられるわけですから、
ひとまず「相談されたら相談にのる」くらいのスタンスで、あとはご自身のリタイア後の人生を楽しむことを優先されたほうがよろしいかと思います。
◆ 財産の承継
ひとことで言うと持ち株の贈与もしくは譲渡です
贈与はただであげる (もらったほうに贈与税がかかる) 譲渡は売る
特に親子間の場合は贈与が多いと思います。
贈与もいろいろありまして…
〇 暦年贈与(1年ごと少しずつ贈与する)
〇 相続時精算課税制度を使った贈与
※ 要件はございますが2,500万円までの贈与は非課税。相続税のときにもち戻しがある。暦年贈与には戻れない。
※ 将来的に株価が上昇することが予想される場合は有効だと考えます。
〇 事業承継税制を使った贈与
一般と特例(平成30年度税制改正により新設)がございます。
このうち、今1番注目されているのは特例事業承継制度だと思います。内容がとても複雑ですので、ここでは書ききれませんが
ひとことでいうと、要件にあてはまれば株の贈与税が猶予(いったんは払わなくてもよい)
そして後継者の死亡等により、猶予されている贈与税は払わなくてよくなる、という制度です。
(いやーお読みになっても、ピンとこないですよね。なんでこんなに難しい制度を国は作ってしまうのかしら……
税理士泣かせでもあります。)

いずれにしても、親族内への株の承継を検討する場合のポイントは
現在の会社の株価を算定するです。
※ 株価が高い場合は株価を下げる対策をとってから、なにがしかの移動方法をとるのが王道です。
会社の株価 今はいくらかを把握する
事業承継をお考えであれば、必須だと考えます
Photo:北海道富良野「風のガーデン」
藤枝市の女性税理士事務所 野島由美子税理士事務所(藤枝・島田・焼津・静岡)
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